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介護保険施設の種類とそれぞれの費用の目安

純一三浦

【完全ガイド】介護保険施設の種類と費用の目安〜特養・老健・介護医療院の違いと負担軽減制度〜

「親の介護が必要になったけれど、どんな施設があるのかわからない」「将来の施設入所に備えて、費用の目安を知っておきたい」――そんなお悩みを抱えていませんか?

介護保険を使って入所できる「介護保険施設」には、目的や対象者の状態に合わせていくつかの種類があります。また、費用についても、要介護度や施設のタイプによって細かく分かれています。

この記事では、介護保険施設の主な3つの種類とそれぞれの特徴、そして気になる1か月あたりの費用の目安を詳しく解説します。さらに、費用の負担を大きく減らすことができる制度についても紹介しますので、施設選びの参考にしてください。


1. 介護保険施設とは?大きく分けて3つの種類

介護保険施設に入所して受けるサービスを「施設サービス」と呼びます。要支援の方は利用できず、どのような介護が必要かによって、施設は大きく3つのタイプに分かれています。

① 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)

  • 対象となる方: 常に介護が必要で、自宅での介護が困難な方。原則として「要介護3〜5」の方が対象となります。
  • 特徴: 食事や入浴など、日常生活の介護や健康管理が受けられる施設です。「生活介護」が中心となっており、終の棲家として長く暮らすことを前提としているのが特徴です。

② 介護老人保健施設(老健)

  • 対象となる方: 病状が安定しており、リハビリに重点をおいた介護が必要な方。「要介護1〜5」の方が対象です。
  • 特徴: 医学的な管理のもとで、介護や看護、リハビリを受けられる施設です。「介護やリハビリ」が中心であり、基本的には自宅への復帰を目指して一時的(数ヶ月程度)に入所し、機能回復を図ることを目的としています。

③ 介護医療院

  • 対象となる方: 主に長期にわたり療養が必要な方。「要介護1〜5」の方が対象です。
  • 特徴: 医療と介護(日常生活上の世話)が一体的に受けられる施設です。「長期療養の機能を備えた施設」として、充実した医療ケアが必要な方でも安心して生活できる体制が整っています。

2. 1か月あたりの費用の目安(施設サービス費)

施設サービスの費用は、「要介護度」「施設の体制」「部屋のタイプ(従来型個室、多床室、ユニット型個室など)」によって異なります。ここでは、相部屋である「多床室」を利用した場合の、1か月あたりの施設サービス費の自己負担分(1割負担のめやす)をご紹介します。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の費用めやす

  • 要介護3:22,949円(サービス総費用 229,482円)
  • 要介護4:25,143円(サービス総費用 251,427円)
  • 要介護5:27,306円(サービス総費用 273,058円)

介護老人保健施設の費用めやす

  • 要介護1:24,861円(サービス総費用 248,605円)
  • 要介護2:26,428円(サービス総費用 264,280円)
  • 要介護3:28,466円(サービス総費用 284,658円)
  • 要介護4:30,128円(サービス総費用 301,273円)
  • 要介護5:31,727円(サービス総費用 317,262円)

介護医療院の費用めやす

  • 要介護1:26,115円(サービス総費用 261,145円)
  • 要介護2:29,563円(サービス総費用 295,630円)
  • 要介護3:37,056円(サービス総費用 370,557円)
  • 要介護4:40,222円(サービス総費用 402,220円)
  • 要介護5:43,107円(サービス総費用 431,062円)

3. 施設サービス費以外に「別途かかる費用」に要注意!

さきほどご紹介した金額は、あくまで「施設サービス費の自己負担分(1〜3割)」のみです。施設に入所した場合、これに加えて以下の費用が全額自己負担となりますので注意が必要です。

  1. 居住費(滞在費):お部屋代のことです。個室か多床室(相部屋)かによって大きく変わります。
  2. 食費:毎日の食事代です。
  3. 日常生活費:理美容代や、個人的に必要な日用品の費用などです。

つまり、実際の1か月の支払額は、【施設サービス費(1〜3割)+ 居住費 + 食費 + 日常生活費】の合計となります。施設の平均的な費用をもとに「基準費用額」が定められていますが、実際の費用は施設と利用者との契約によって決められます。


4. 費用負担を大きく減らす「特定入所者介護サービス費」

「全額自己負担の居住費や食費を足すと、支払いが難しそう…」と不安になった方もいるかもしれません。しかし、所得が低い方に対しては、居住費や食費の負担が軽くなる「特定入所者介護サービス費」という頼もしい制度があります。

この制度では、所得に応じた自己負担の上限(限度額)が設けられており、これを超える利用者負担はありません。超えた分は介護保険から給付されます。

負担軽減を受けるための要件

給付を受けるには、お住まいの区役所等へ申請し、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けて事業所に提示する必要があります。 審査では、本人および同一世帯員の所得状況だけでなく、預貯金等の資産もチェックされます。また、同一世帯でない配偶者(事実婚含む)の所得や預貯金等も判断材料となります。

【預貯金等に含まれるもの】 預貯金(普通・定期)、有価証券、投資信託、現金など。借入金や住宅ローンなどの負債は差し引いて計算されます。 【預貯金等に含まれないもの】 生命保険、自動車、腕時計・宝石などの貴金属、絵画・骨董品・家財など。

利用者負担段階と1日あたりの自己負担限度額

所得や預貯金の状況によって、第1段階〜第3段階に分けられます。それぞれの居住費・食費の限度額(1日あたり)は以下の通りです。

  • 第1段階(生活保護受給者の方など・預貯金要件なし)
    • 居住費:多床室 0円、従来型個室 550円(※特養等は380円)、ユニット型個室 880円
    • 食費:300円
  • 第2段階(世帯全員が住民税非課税で、合計所得金額等が80万円以下の方など)
    • 預貯金要件:単身650万円以下、夫婦1650万円以下
    • 居住費:多床室 430円、従来型個室 550円(※特養等は480円)、ユニット型個室 880円
    • 食費:390円
  • 第3-①段階(世帯全員が住民税非課税で、合計所得金額等が80万円超120万円以下の方)
    • 預貯金要件:単身550万円以下、夫婦1550万円以下
    • 居住費:多床室 430円、従来型個室 1,370円(※特養等は880円)、ユニット型個室 1,370円
    • 食費:650円
  • 第3-②段階(世帯全員が住民税非課税で、合計所得金額等が120万円超の方)
    • 預貯金要件:単身500万円以下、夫婦1500万円以下
    • 居住費:多床室 430円、従来型個室 1,370円(※特養等は880円)、ユニット型個室 1,370円
    • 食費:1,360円

(※)居住費のカッコ内の金額は、介護老人福祉施設(特養)に入所した場合などの額です。

【今後の変更予定に関する注意点】 令和7年(2025年)8月より、第2段階などの所得要件である「80万円以下」という基準が「80万9千円」に変更される予定です。また、Ⅱ型介護医療院などの一部の多床室において、室料(697円)が徴収されるようになる予定ですので、最新の情報に注意してください。


5. 施設への申し込み方法と入所の仕組み

施設への入所を希望する場合は、区役所や地域包括支援センターを通すのではなく、入所を希望する施設へ直接申し込みます

特筆すべき点として、申し込み順(早い者勝ち)ではなく、介護の必要性やご家族の状況などを勘案し、必要性の高い方から優先して入所できる仕組みになっています。特に特別養護老人ホームは入所待ちとなることも多いため、ケアマネジャー等と相談しながら、複数の施設を見学し、早めに申し込み手続きを進めておくことをおすすめします。


まとめ

介護保険施設には、「特別養護老人ホーム(生活中心)」「介護老人保健施設(リハビリ中心)」「介護医療院(医療・療養中心)」の3種類があり、目的によって選ぶべき施設が異なります。

費用については、介護サービス費そのものに加え、居住費や食費が別途かかりますが、所得や預貯金が一定以下の場合は「特定入所者介護サービス費」という負担軽減制度を利用することで、毎月の支払いを大きく抑えることが可能です。

施設選びや費用の試算は複雑に感じられるかもしれませんが、担当のケアマネジャーやお住まいの自治体の窓口に相談しながら、ご本人にとってもご家族にとっても最適な選択をしてください。

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Junichi Miura
Junichi Miura
うつみね診療所 所長
須賀川市のうつみね診療所院長。地域医療や在宅医療に携わる医師。ラジオパーソナリティも務め、難しい医療知識を分かりやすい日常の言葉に翻訳して発信しています。趣味は71歳から始めたジャズギター。皆様の健やかな暮らしを支えるパートナーとして伴走します。
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